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遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の遺伝子診断 BRCA1/2遺伝子検査のご案内

更新日 2009/05/14

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Current Topicsは、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群に関する情報の中から新しい知見や話題となっていることを1つとりあげて紹介するページです。

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海外での遺伝性乳がん・卵巣がんの診療について
~National Consortium of Breast Centersの学術集会2009より~

2009年3月14~18日、米国ラスベガスにて、National Consortium of Breast Centers(以下、NCBC)の第19回学術集会が開催されました。NCBCは、1985年に乳がん患者のケアに関わっている多岐にわたる専門家のために創設された団体です。今年の学術会議には750名を超える参加者が米国内外から集いました。その中で「遺伝性乳がん・卵巣がん」をテーマとしたセッションがありましたので、その一部をご報告します。

■乳がん高リスク者に対するMRIの有効性
発表者:Alan Semine, MD (Women’s Imaging center, Newton-Wellesley Hospital)


今回の学術集会では、BRCA1/2遺伝子変異を持っているなど、乳がんの発症リスクが高い方に対するスクリーニング方法については、複数の先生から発表がありました。従来のマンモグラフィーにMRIを組み合わせることで、乳がんの予防に有効であることは専門家の間で一致しています。

Semine先生のご講演は、特にMRIでの検診に焦点を当てた内容でした。

乳がんの発症リスクが高いと分かることは、定期的な検診を受けるなどの予防行動につながり、それによって早期発見ができるので、生存率は、変異を持っていない人と相違ないと報告されています。予防方法には、自己触診、視触診、マンモグラフィー、超音波検査、乳房MRIがあります。乳がん高リスク女性に対しては、従来のマンモグラフィーや視触診に、乳房MRIを加えた検診方法が有効であることは、これまでの複数の研究で報告されています。また2007年には、American Cancer Societyでも、MRIを加えた検診方法に関するリコメンデーションが出されています。その中で、年1回のMRI検診を推奨する対象基準として、「BRCA1/2遺伝子変異を持つこと」、「第1度近親者にBRCA1/2遺伝子変異を持つことが分かっていること」、「家族歴その他のリスクファクターによって算出されたリスクアセスメントで、生涯の乳がん発症リスクが20~25%以上であること」が含まれています。

MRIの感度が高いことは複数の研究で報告されていますが、今回のご講演では、BRCA1遺伝子変異を持つ方を対象に、検診方法としてマンモグラフィーにMRIを組み合わせることで、乳がんによる死亡率が減少したという研究報告(JM Lee et al. 2008)が紹介されました。臨床的な検診(画像診断なし)の群と比較すると、年1回のマンモグラフィーによって乳がんによる死亡率が16.8%減少したのに対し、マンモグラフィーにMRIを加えることで22.0%減少したことが示されています。今後さらなる検討が必要ではあるとしつつも、MRIを取り入れた検診が乳がん高リスク者にとって生命予後に影響することが示唆されています。

このように海外では、MRIを取り入れた検診方法によって、高リスク者の乳がんの早期発見が科学的根拠に基づいたものであることが専門家の間で共通した見解であり、統合的な診療に組み入れられつつあるようです。

■BRCA遺伝子検査陽性者の乳がんの医療管理
発表者:Jeffrey Weitzel, MD (City of Hope Cancer Center)


Weitzel先生の講演では、すでに乳がんや卵巣がんを発症した患者にとって、BRCA1/2遺伝子変異を持っていることが分かることで、診療にも役立てられることが強調されました。

BRCAの遺伝子変異がある乳がん患者に提示される選択肢として、以下の事柄があります;

  • 乳がんの手術方法として、乳房の全摘を選ぶか、温存手術を選ぶのか。あるいは、対側乳房の乳房切除を行うか。
  • ホルモン療法によるリスク低減のための選択肢として、両側卵巣摘出を実施するか、タモキシフェンを服用するか。
  • スクリーニングとして、マンモグラフィーやMRIをどのように取り入れるか。

このような状況の中では、遺伝的なリスクアセスメントの結果が、乳がんの治療にも関わってくるため、どのタイミングで遺伝子検査を含めたリスクアセスメントを行うのかが重要になってきます。乳がんの診断時にリスクアセスメントを提供するのと乳がんの治療後にリスクアセスメントを提供するのとでは、患者が選択する治療方法が異なるという報告もされています。すなわち、乳がんの診断時にリスクアセスメントをすることが患者にとって有効であるとの主張でした。さらに将来は、BRCA遺伝子変異など遺伝情報が乳がんや卵巣がんの治療法に役立てられるとの見解が示されました。

また、BRCA1タンパクやBRCA2タンパクの分子構造上の変化が乳がんや卵巣がんの発症に関与する仕組みの解明と現在治験段階中の薬剤の効果が、期待されています。

*海外と日本では、診療体制や保険制度の仕組み等が異なります。

<参考>National Consortium of Breast Centersのホームページ
http://www.breastcare.org/

(報告者:金子)

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