家族性大腸腺腫症(FAP)遺伝子診断 APC遺伝子検査
家族性大腸腺腫症(FAP)
大腸がんの数%は、遺伝性であるといわれています。遺伝性の大腸がんには、大腸ポリープがたくさん(100個以上)できるタイプの家族性大腸腺腫症(FAP)と、あまり大腸ポリープができない、遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)というがんがあります。FAPでは、遺伝性でない大腸がんと比較すると、より若年でがんの発生がみられることが特徴で、大腸にいくつもがんができる場合があります。また大腸以外の臓器(十二指腸、胃、甲状腺、膵臓、肺、子宮、卵巣、繊維組織)にも、がんの発生をみることがあります。
FAPには、ポリープが大腸に無数に発生する典型的なFAPと、ポリープの数が100個以下のattenuatedFAP(AFAP)の2つの型があることが知られています。AFAPは、遺伝性非ポリポーシス大腸がん(HNPCC)と区別するのが困難なことがあります。

FAPと遺伝子
FAPの原因遺伝子として、APC遺伝子*が見つかっています。生まれつき一つのAPC遺伝子に異常(病的変異)があり、その後さらにもう一つの遺伝子に変異がおこり、その機能が全て失われると、細胞の増殖を抑えることができなくなるため、がんになりやすいと考えられています。APC遺伝子における病的変異は、FAPと診断された家系の約70%で検出されています。AFAPでは、APC遺伝子のはじめの部分に変異が多く見つかっています。APC遺伝子に変異が見つからない場合は、他の遺伝子の異常の可能性が残ります。
*APC遺伝子は細胞の正常な機能に必要な遺伝子です。遺伝子は母方由来のものと、父方由来のものの二つで成り立っています。
遺伝形式と浸透率
APC遺伝子の病的変異によって発症するFAPは、常染色体優性遺伝という遺伝形式を取ることがわかっています。これはがんの原因となる遺伝子変異が親から子供に伝わる可能性が、性別に関係なくどの子供も50%であるということです。
FAPでは、30歳までに90%の人で大腸にポリープが発生し、40歳までに約50%の人に大腸がんを発症します。60歳までには、90%以上の人が大腸がんを発症すると報告されています。
AFAPでは、FAPに比べ大腸がんの発症する年齢は高い傾向があり、平均55歳で発症すると報告されています。

本解析の概要
| 項目名 | 検体量 | 保存条件 | 所要日数 | 検査方法 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| APC遺伝子 フルシークエンシング | 全血 7mL | 冷蔵 | 1ヵ月 | ダイレクト・ シークエンシング法 | 未発症者の全塩基配列解析は、診断意義が低いとされています。 発症前診断には、事前に、既発症血縁者の遺伝子変異の確認を行ってください。 |
| APC遺伝子 シングルサイト | 全血 3mL | 2週間 | 血縁者の遺伝子解析情報をご提供ください。 | ||
| APC遺伝子-MLPA | 全血 7mL | 1ヵ月 | MLPA法 | 大規模な遺伝子再構成の検出用解析です。 |
APC遺伝子検査は、米国のジェンザイム社(Genzyme Corporation)から遺伝子特許使用許諾を受けて実施しています。
検査依頼のお願いと、依頼時の確認事項について
ファルコバイオシステムズは、APC遺伝子検査を臨床検査として受託するにあたり、家族性腫瘍における遺伝子診断は、現段階では、その特性から通常の臨床検査とは異なる扱いをしています。
遺伝学的検査の倫理的、社会的問題を考慮し、検査の依頼に際して、いくつかの条件を医療機関にお願いしております。(別紙、受託に関するご案内を参照ください。)
検査の実施にあたっては、社団法人 日本衛生検査所協会「ヒト遺伝子検査受託に関する倫理指針」、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」 及び関係学会による「遺伝学的検査に関するガイドライン」を遵守することを基本としています。