ミリアドビデオ中の用語解説

用語解説

HBOC
Hereditary Breast and Ovarian Cancer:遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の略称です。 遺伝的要因(遺伝子の変化)により、乳がん及び卵巣がんの発症リスクが高い家系で発症する乳がん、卵巣がんを指します。
キャリアー
HBOCにおいては、BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有しているが、まだ乳がんも卵巣がんも発症していない人を指します。
全塩基配列検査
BRCA1及びBRCA2遺伝子の機能部分(エクソン)を構成するすべての塩基(DNAの構成単位、あわせて約48,000個の塩基)を測定する検査で、その家系で初めてBRCA1、BRCA2遺伝子の検査をする場合に実施し、データベースと比較して塩基の配列に変化(変異)があるかどうかを判定します。
シングルサイト検査
全塩基配列検査で検出された変異部分だけを測定する検査で、変異の見つかった家系で、同一家系の構成員(血縁者)が同じ変異を有するかどうかを判定します。
マルチサイト 3
アシュケナージ系ユダヤ人には集中して多く見られる変異が3種類あることが知られており、アシュケナージ系ユダヤ人の乳がん・卵巣がん患者のみを対象とし、その3種類にしぼって測定する検査です。全塩基配列解析より測定する領域が大幅に少ないので、比較的安価に実施できます。
多型
遺伝子配列(塩基)の一部が変化していることを表す表現の一つです。もともとは、その生物種においてもっとも頻度の高い(標準的な)遺伝子の塩基配列に対して、1%以上の頻度で同様の配列変化が見られる場合、これを多型(polymorphism)と呼びます。疾患の原因となる遺伝子では、その変化(遺伝子型)が起こっていても、遺伝子の機能(表現型)には変化を与えず、病気のなり易さなどにプラスにもマイナスにも影響を与えない場合を多型と呼びます。

ビデオの補足説明

BRCA1、BRCA2遺伝子変異の検出される割合
BRCA1、BRCA2遺伝子の変異(病気と関連する変化)は、HBOC(遺伝性乳がん・卵巣がん)患者に必ず検出されるわけではありません。HBOCを推定するための患者家族の病気の状況による検出される割合は変わりますが、若くして乳がんを発症するなどのHBOCの特徴を有する方では20%~60%の割合で検出されます。
 血縁者の既往歴
第2度近親者以内の血縁者に初発年齢を問わず乳がん
または卵巣がんを発症した人がいる家系
家系内に卵巣がんを発症した人が
いない
家系内に卵巣がんを発症した人が
いる
初発が50歳未満の
乳がんの発症者が
いない
初発が50歳未満の
乳がんの発症者が
いる
初発が50歳未満の
乳がんの発症者が
いない
初発が50歳未満の
乳がんの発症者が
いる
本人の
既往歴
初発時50歳以上の
乳がんだけがある女性
2.5%10.3%7.9%21.8%
初発時50歳未満の
乳がんだけがある女性
8.0%24.7%18.1%46.4%
初発年齢を問わず、
卵巣がんだけがある女性
9.2%36.0%26.6%49.1%
初発年齢を問わず
乳がんと卵巣がんの
両方がある女性
26.6%50.0%46.2%75.0%

※第1度近親者は、父母、子ども、兄弟姉妹をさします。第2度近親者は、祖父母、孫、おじ、おば、甥、姪をさします。
従姉妹は第3度近親者になります。

乳がん・卵巣がん発症のリスク
BRCA1あるいはBRCA2遺伝子の変異(病気と関連する変化)を親から受け継いでも、乳がんあるいは卵巣がんを必ず発症すると言う訳ではありません。米国で種々の研究が行われており、それらの研究結果では、変異を持っている方が70歳までに乳がんを発症する確率は、45%から85%と報告されています。卵巣がんを発症する確率は10%から45%と報告されています。
予防治療
米国では、乳がんのハイリスク群を対象とした、抗エストロゲン剤によるホルモン療法を実施した群としていない群での比較試験で、乳がんの発症する確率がホルモン療法により半分に抑えることが出来たことにより、遺伝性乳がんの予防にホルモン療法が取り入れられています。
また、乳房の予防的切除により、BRCA遺伝子変異の保因者の90%の乳がん発症抑制効果があったことから、HBOCの保因者や、乳がん発症者の反対側の乳房の発症前切除手術が取り入れられるようになりました。
更に、HBOCでは、卵巣がんの発症リスクが高いため、出産年齢を過ぎた保因者が卵巣の予防的摘出術を受ける選択肢も示されています。日本では、乳がん・卵巣がんの予防的な治療は、保険診療の対象になっていません。