英文用語解説(アルファベット順)
『A』
- APC
- 家族性の大腸がんである家族性大腸腺腫症(FAP)の原因とされる遺伝子。この遺伝子に病的な変異がある場合、35歳までにほぼ100%の確率でFAPを発症するとされる。
『B』
- BRCA1/BRCA2
- 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群に関与している遺伝子として同定されている。この遺伝子に病的な変異が起こると、乳がんや卵巣がんを発症する可能性が高くなるとされる。
『C』
- CYP2C192
- チトクロームP450酵素ファミリーの1つ。PPI(プロトンポンプインヒビター:抗胃潰瘍薬などに用いられる)などの薬物代謝に関わるとされる。この遺伝子に存在するいくつかの多型の影響で薬物の代謝能が劇的に変化するとされ、その結果、その治療効果が大きく異なる場合があることが知られている。
『D』
- DNA
- ほとんどすべての生物において、遺伝情報を担う物質のこと。遺伝子に変異が起こるということは、このDNAに変化が生じることをいう。
『E』
- exon
- 遺伝子の塩基配列のうち、直接にアミノ酸配列の情報となる部位のことをいう。
『F』
- FAP
- 家族性大腸腺腫症 (Familial Adenomatous Polyposis) のこと。常染色体優性形式で遺伝する。この疾患では、早ければ10代から、平均して20代後半から、大腸内に数百~数千個のポリープが発生し、最終的にはこれらのポリープのいずれかが、ほぼ100%がんになる。FAP患者のほとんどに、APCという遺伝子に変異が見つかる。
『G』
『H』
- HNPCC
- 遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(Hereditary Non-Polyposis Colorectal Cancer) のこと。常染色体優性形式で遺伝する。この疾患では、平均して45歳ごろまでに、大腸内に同時にいくつものがんが発症したり、場合によっては別の場所にもがんを発症することがある。HNPCC患者の約5~6割に、MLH1・MSH2などの遺伝子の異常が見つかっている。
『I』
- intron
- 遺伝子の塩基配列上であっても、アミノ酸配列の情報にはならない部位のことをいう。
『J』
『K』
『L』
『M』
- MEN1
- 多発性内分泌腫瘍症1型の原因とされる遺伝子。この遺伝子に病的な変異がある場合、内分泌臓器で機能亢進(必要以上にホルモンを産生・分泌する状態)がおきたり、腫瘍ができたりする。
- MLH1
- 遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)の原因の一つとされる遺伝子。HNPCCの患者の約2~3割に、この遺伝子に変異が見つかる。この遺伝子に病的な変異があると、大腸がんのリスクが高まるとされる。
- MLPA
- 従来法では困難であった遺伝子の大規模欠失・増幅変異の検出に特化された、新しい遺伝子解析法。この手法を遺伝性(先天性)疾患の解析に用いることにより、今まで遺伝子変異が検出されなかった症例においても、新規の遺伝子変異が検出される場合がある。
- MSH2
- 遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)の原因の一つとされる遺伝子。HNPCCの患者の約2~3割に、この遺伝子に変異が見つかる。この遺伝子に病的な変異があると、大腸がんのリスクが高まるとされる。
- MSH6
- 遺伝性非ポリポーシス性大腸がん(HNPCC)の原因の一つとされる遺伝子。この遺伝子に病的な変異があると、大腸がんのリスクが高まるとされる。HNPCC患者においては、MLH1、MSH2遺伝子に次ぐ頻度でその変異が認められる。
- MYH
- 家族性の大腸がんである家族性大腸腺腫症(FAP)の原因とされる遺伝子。一般的に、APC遺伝子変異によって発症するFAPは、常染色体優性遺伝の形式をとるとされるが、MYH遺伝子変異による発症は、常染色体劣性遺伝の形式をとるとされている。APC遺伝子に変異のみられないFAP患者の数%で、 MYH遺伝子に病的な変異が発見されている。
『N』
- NAT2
- N-アセチルトランスフェラーゼ(N-アセチル転移酵素)の1つ。イソニアジド(抗結核薬)などの薬物代謝に関わるとされる。この遺伝子に存在するいくつかの多型の影響で薬物の代謝能が劇的に変化するとされ、NAT2の代謝能が低下してしまう表現型では、重篤な副作用を引き起こす可能性があることも知られている。
『O』
『P』
- PCR
- わずかなDNAから、目的とする特定のDNA部分を、数時間で数十万倍に増幅させる方法のこと。遺伝子診断においては、まず検体から回収したDNAから目的の遺伝子をPCRによって増幅することから始まる。
- PCR-SSCP
- PCRにより特定部位を増幅したDNAから、遺伝子変異を判別する方法の一つ。
- Phrmacogenomics
- 医薬品の効き方や副作用に関係する、遺伝子の多様性について調査する研究・学問のこと。
- PMS2
- 遺伝性腫瘍の1つである「リンチ症候群(HNPCC)」の原因遺伝子の1つ。PMS2遺伝子のほかに、3種類の遺伝子(MLH1、MSH2、MSH6)が同定されている。これらの遺伝子のいずれかに変異を持っていると、大腸がん、子宮内膜がんをはじめ、関連腫瘍の発症リスクが一般集団よりも高くなることが分かっている。
- Polymorphism
- 遺伝子多型のこと。遺伝子多型とは、DNA塩基配列が変わっても、その遺伝子の働きにほとんど影響がないような遺伝子変化のことをいう。
『Q』
『R』
- RET
- 多発性内分泌腫瘍症2型の原因とされる遺伝子。この遺伝子に病的な変異がある場合、内分泌臓器で機能亢進(必要以上にホルモンを産生・分泌する状態)がおきたり、腫瘍ができたりする。
- RNAP
- タンパク質を合成するため情報として働く物質。mRNAは、DNA上の遺伝情報が転写されたものである。mRNAの量を検査することで、遺伝子の機能の異常を判定できる場合がある。
『S』
- SNP
- Single Nucleotide Polymorphismの略。遺伝子の塩基配列が1ヶ所だけ異なっている状態(1塩基多型)のことをいう。この1ヶ所の変化によって、体内の酵素などの働きが微妙に変わることにより、病気への罹り安さや医薬品への反応が異なるとされている。
『T』
『U』
『V』
『W』
『X』
『Y』
『Z』
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