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多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)遺伝子診断 MEN1遺伝子検査

臨床診断基準では副甲状腺腫瘍、下垂体腫瘍、膵消化管腫瘍のうち二つを発症した場合にMEN1と診断されますが、それ以外にもさまざまな組み合わせで内分泌腫瘍または非内分泌腫瘍が発症します。
家族性MEN1は優性遺伝性の疾患であり、患者さんの子どもに50%の確率で遺伝します。しかし、病変が多彩であり、また無症状のまま進行することも多いため、正しい診断がつかないままになっている患者さんが少なくないと考えられます。遺伝子検査は診断の確定だけではなく、未発症の血縁者の保因者診断にも有益です。

MEN1の原因遺伝子であるMEN1遺伝子の遺伝子検査では、家族性MEN1の発端者の80~90%に変異を検出できます。
血縁者にMEN1患者がいない散発例の患者さんの約65%に遺伝子変異が検出されます。このことから、遺伝子検査が家族性MEN1の確定診断に有用と期待されます。

MEN1で生じる内分泌腫瘍

腫瘍腫瘍サブタイプ悪性化MEN1での頻度
副甲状腺過形成なし50歳までにほぼ100%※1
下垂体前葉成長ホルモン産生腫瘍なし40~60%※2
非機能性腫瘍、プロラクチン産生腫瘍が多い
プロラクチン産生腫瘍
ACTH産生腫瘍
非機能性腫瘍
膵消化管ガストリン産生腫瘍あり50~70%
ガストリン産生腫瘍※3、非機能性腫瘍が多い
インスリン産生腫瘍
グルカゴン産生腫瘍
VIP産生腫瘍
非機能性腫瘍
カルチノイド胸腺カルチノイドあり10~20%
胸腺カルチノイドは高悪性度
気管支カルチノイド
胃十二指腸カルチノイド
副腎皮質非機能性腫瘍なし20~40%
大部分は非機能性腫瘍
コルチゾール産生腫瘍
アルドステロン産生腫瘍
皮膚脂肪腫なし顔面血管線維腫は日本人患者の43%に認める※4
他の皮膚腫瘍は約20%
顔面血管線維腫
結合組織母斑

※1 90%の症例で初発病変となる

※2 10%の家族例、25%の散発例で初発病変となる

※3 Zollinger-Ellison症候群を呈する

※4 Sakuraiら(2000)

遺伝子検査の臨床的意義

遺伝子検査が行えるようになる以前は、MEN1と診断された患者さんの血縁者は、患者さんと同じ体質を受け継いでいる可能性があるため、血縁者全員に定期的なスクリーニングが必要でした。

患者さんの遺伝子変異が特定されれば、血縁者への遺伝子検査が可能になります。患者さんと同じ遺伝子変異がみつからなかった血縁者は、今後のスクリーニングが不要となります。遺伝子変異が見つかった血縁者は積極的なスクリーニングにより、腫瘍の早期発見・早期治療が可能となります。

遺伝子検査は遺伝カウンセリングの過程で、重要かつより確実な情報を提供できる選択肢です。

遺伝形式

MEN1遺伝子の病的変異によって起こるMEN1は、常染色体優性遺伝形式をとります。これは病気の原因となる遺伝子が、親から子に伝わる可能性が性別に関係なく50%であるということです。
患者さんの10%は新生突然変異によってMEN1を発症します。新生突然変異とは、その人で初めて遺伝子に変異が起こったことを意味します。その人の上の世代である両親に原因遺伝子をもった人はいませんが、その人の下の世代である子や孫には優性遺伝形式で遺伝子変異が伝わります。

浸透率

MEN1患者さんでは、20~25歳までに約半数が副甲状腺機能亢進症を発症し、50歳までにほぼ全例で高カルシウム血症を呈するなど、浸透率が高いことが知られています。

補足

MEN1の遺伝子変異をもつ人の95%が40歳までに臨床症状を呈するといわれていましたが、最近の研究では30歳で45%、50歳で82%、70歳で96%と推定されています。

発症者の頻度

欧米白人での本症の頻度は10万人に3~10人程度です。わが国での頻度もほぼ同程度と推定されています。

本解析の概要

項目名解析内容検体量保存条件所要日数検査方法備考
MEN1
フルシークエンシング
MEN1遺伝子
全エクソン領域の塩基配列解析
全血
7mL
冷蔵 1ヵ月ダイレクト・
シークエンシング法
未発症者の全塩基配列解析は、診断意義が低いとされています。
発症前診断には、事前に、既発症血縁者の遺伝子変異の確認を行ってください。
クイックMEN1
フルシークエンシング
2週間
MEN1
シングルサイト
MEN1遺伝子の
特定1ヵ所塩基配列解析
全血
3mL
既発症血縁者の遺伝子解析情報をご提供ください。
MEN1-MLPA特定領域の解析全血
7mL
1ヵ月 MLPA法大規模な遺伝子再構成の検出用解析です。

検査依頼前のお願いと、依頼時の確認事項について

ファルコバイオシステムズは、MEN1遺伝子検査を臨床検査として受託するにあたり、家族性腫瘍における遺伝子診断は、現段階では、その特性から通常の臨床検査とは異なる扱いをしています。

遺伝学的検査の倫理的、社会的問題を考慮し、検査の依頼に際して、いくつかの条件を医療機関にお願いしております。(別紙、受託に関するご案内を参照ください。)

検査の実施にあたっては、社団法人 日本衛生検査所協会「ヒト遺伝子検査受託に関する倫理指針」、厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」 及び関係学会による「遺伝学的検査に関するガイドライン」を遵守することを基本としています。

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